もう弟なんてやめてやる。

『ねぇってば!男の子から見てどう?可愛い?』


一点をボーッと見つめる俺に
雫はただ話しかけてくる。


いつかは、

雫にもそういう時期が
くると思ってた。


小さい時から、

ずっと…


いつかは俺の側から居なくなると
分かったあの日から…


その時は笑顔で、
雫を見守ってあげるんだって

思ってた…



『…可、愛いよ…?』

『本当!?じゃぁ、これで行こうっと』


行かないで…


『ありがと、陸!』


行かないで…

行くな…!


そんな事、言えるはずもなくて。

だから雫に伝わることもないまま、
静かに玄関の扉が


─────閉まった。