もう弟なんてやめてやる。

『あれ、どっか行くの?』

『へへ、お祭りに行ってくる。どうどう?お母さんに髪もしてもらったんだー』



俺の前でクルクルと廻る
浴衣姿の雫。

この時、
変だなって思ったんだ。


雫はドジだから
絶対に浴衣を汚すって

毎年着るのをあれだけ避けてたのに。



「浴衣…ちっちゃい時以来だね。…誰と、行くの?」

「え、それは内緒!」



ドクン、と心臓が動いた。


サァ…と血の気が引いてく
そんな感覚に襲われる。


真っ赤な顔をした雫は分かりやすい…


相手は間違いなく、


──────男だ。