「…湯、冷めるから早く入りなよ?」
「ん、ありがとう」
そんな感情を押し殺して、
俺は雫の笑顔を見届けて
静かにドアを閉じた。
雫は俺が手を
出していい相手じゃない。
頭では解ってるんだ。
血が繋がった“姉弟”だってこと。
「…っ」
だけどたまに、
……そんなの関係ねぇよ。
俺の中で悪魔が囁く。
静かな廊下を歩いて
隣の自室に向かうと、
すぐにボスっと
ベッドへダイブした。
雫は俺の気持ちを知らない───…
苦しい。
泣きたい。
何度も
何度も
諦めようとしたのに
『陸ーっ』
どうしても雫じゃないと
ダメだった。

