自宅。


「ただいま…」


神妙な面もちで
雫が帰宅。


母親と父親が
ドキッと一瞬硬直して。

すぐにいつも通りに
振る舞った。



「おかえりなさい。もうすぐご飯だから、手を洗ってきなさい」

「……お母さん、お父さん。陸が、帰ってきたの」

「え?」



2人がリビングの扉へ
視線を移すと、

そこには呆然とした…陸の姿。


右手には────、


白い封筒。


父親の目がその封筒を見て、
驚いた。


封筒には“市役所”の文字。



「…やーだ、どうしたの陸。言ってくれたら今日は陸の好きな物…」

「…母さん、」



言葉を遮るように
陸が口を開いた。