もう弟なんてやめてやる。

「じゃぁ、あたし日誌書き終わったし、弟くんが居るならこのまま帰るわ」

「あ、もしかして何気に雫待っててくれた?」

「だってあの子心配なんだもの。でも弟くん居るならもう心配ない」

「はは、ありがとう」



陸の笑う顔を見て
穂乃華が目を細める。

さっきから微かにフワリと漂う、
柑橘系の匂い。


「………弟くん、あたしが言うのも何だけど、気をつけた方がいいよ」

「………」



ドキッと陸の動きが停止。

動揺を無理矢理押し込んで
穂乃華を見た。



「…何を?」

「柑橘系の匂いがする。香水じゃないの?…弟くん、つけてないでしょ。雫が気づくよ」

「………」

「じゃぁ、日時とかは雫通してで大丈夫だから」