もう弟なんてやめてやる。

「や、めて…離して…」

「…陸くんから…なんだ?こんなの、付けてるからダメなんだよ」

「や…っ!」


やめて───!


目に涙が滲む。
首を左右に振って。

町田くんの手を握って
必死に抵抗した。


なのに、

プツ………と
チェーンが切れて。


雫の大きな瞳に映る……
宙を舞った小さな

────赤い石。



『大切にしてくれて、ありがと』


あの時の、
陸の顔が浮かんだ。



「か、えして…返してっ!」

「…そう簡単には返してあげられない。どうしても返して欲しいんだったら、俺と付き合って」

「っ、待っ…!」



遠ざかってく町田の姿に
雫の膝が崩れ落ちた。

どうして…