「苦…し…」

「まだ、ダメ」

「っ」



キスをしてると
雫の匂いがフワッと

鼻をかすめて。


ドキドキと心臓が高鳴る。

もっと、─────触れたい。



ガチャ…


「雫ー?陸ー?」


玄関のドアが開いたと
同時に聞こえてきた

─────母親の声。


ビクッと雫が硬直。



「やばっ、帰ってきた」



瞬間、
俺は雫の唇を解放して。

見ると真っ赤な顔をした雫が
息を整えていた。