もう弟なんてやめてやる。

俺も隣に座って
雫が指差す問題を見る。

考えること数秒。



「あー…これは、ここでXを代入するんだよ。そしたら、こうなって…やってみ?」

「う、うん」



陸の視線が教科書から
雫へ流れる…

隣で一生懸命、
問題を解く雫が視界に入って。


胸がきゅうっとした。

俺はこの時の、雫も好きだ。



「出来たっ」

「…ん、正解。じゃぁ、次の問題も同じようにしてみたら解けるよ」

「うん」



その時、
ふと目に入った雫の首もと。


『あれからずっと付けてるの』



買ったあの日、

雫にとっては

“ただ弟に買ってもらったネックレス”
なんだろうなって思ってた。