キーンコーンカーンコーン──…


ちょうど授業が終わったのか。


陸が廊下を歩きながら、

自分の手の平を見つめて
ぎゅっ、と握りしめた。



俺は、

──────汚い。



「あー、陸!!お前また授業サボりやがって!」

「飯田…」



前方から物凄い剣幕で
走ってくるこいつは飯田幸広(いいだゆきひろ)。

俺と雫の幼なじみで、

俺が唯一心を許せる奴。



「どこ行ってたんだよ。俺、寂しかったんだぜー」

「嘘付け。どうせ寝てたんだろ。額に跡ついてる」

「!?ね、寝てねーし!つか、明石も居なかったし、お前まさかまた…」

「…いいだろ。放っとけ」