「陸くん、何かあったの?」

「………」


陸の指がピクッと反応。

ゆっくりと冷めた目で
この女…明石百合(あかいしゆり)を睨む。



「…人の、心は詮索しない約束だろ」

「…だって気になるんだもん」

「お前さ、自分の立場わかってんの?」

「!」



陸が立ち上がって
ガラッと空き教室の扉を開ける。

周囲を確認することなく

廊下に一歩出た。


そして、顔だけを百合に向けると…



「俺は、いつでもやめていいよ。こんなこと」

「や、やだっ。ごめんなさい!」

「お前のワガママで、2人で会ってやってんの忘れんな」

「っ」