もう弟なんてやめてやる。

涙目で訴えてくる芹沢に、
俺は何も言えなかった。


だって、

雫に好きと言ってしまった時点で
普通の“姉弟”には戻れない。

いくら俺が想っていても
夢を見ていても

叶うことなんか1%もない。


誰だってこんな弟、嫌だろ…?


そしたら、


雫から離れるしか


ないだろーが…



「…………あたし、雫の荷物取りに行ってくる」


穂乃華がゴシッと手で涙を拭いながら
その場から離れた。


「…………」


取り残された陸の手が
無意識に扉に触れて。


ガラ…と静かに扉を開けると
引き寄せられるように

雫の側に腰を下ろした。