もう弟なんてやめてやる。

一瞬、何が起こったのか
分からなくて。

ただ、ジンジンと痛む左頬に
手を添えた。



「…知らなかったでしょ」

「……?」

「雫、ずっとあんたのこと探してたんだよ?毎日、休み時間の度に廊下を歩き回ってた」

「は…何、それ」



初めて知った…
雫が…、俺を…?


そう言えばさっき
飯田も同じようなことを言ってた。


ゆっくり芹沢を見ると


「!」


芹沢の瞳には
涙が浮かんでいて。

俺の目が見開く。



「きっと家でもあまり寝てないよ、あの子。なのに、あんたはずっと何してたの?」

「…………」

「あんたが!…どれだけ今まで苦しんできたのかなんて、…あたしは想像することしか出来ない。けど、これがあんたが望んだ結果なの!?」