もう弟なんてやめてやる。

「お前がそんなんだから…、この1週間…雫がどんな気持ちで居たのか知らないだろ」

「……?」

「さっき……、雫が倒れた」

「………は、何…」



今、何て言った…?


飯田が陸を見つめたまま
グッと感情を押し込める。

その様子に陸の表情が
次第に曇った。



「…さっき、芹沢から聞いた。今、保健室に…って、おい!陸!!」



飯田が言い終わる前に
陸が慌てて教室を飛び出す。



『雫が倒れた』


血の気がサァ…と引いてく。
脚が、反射的に動いた。


人にぶつかっても、
階段を2段飛ばしで駆け下りて、

ただ無我夢中で保健室を目指した。


雫が居なくなったら、


───────俺がたえられない。