もう弟なんてやめてやる。

「お前がやってることは、本当に雫のためか?」

「…は?」

「お前、自分を守ってんだろ。雫に振られるのが怖くて、傷つくのが嫌で現実から逃げ回ってるだけだって言ってんだよ」

「っ、」



飯田の言葉にカッとして。


ガタタッ


陸が飯田を壁際へ追いやると
グッと襟元を掴みあげた。


それでも動じることなく
飯田が口を開く。



「俺は確かに陸の味方だ。でも、同じように雫の味方でもある」

「な、にカッコつけてんだよ…!」

「カッコつけてんのはお前だろ!!そんなことして雫が喜ぶと思ってんのか!?今まで大切にしてきた女を、自分勝手な感情で振り回すなって言ってんだよ!!」

「………っ」