ふと辺りが線香臭くなりそこにうずくまるようにしゃがみ込む女性の姿が

半分透けているので霊だとわかる
先ほどの虫に比べたら怖さがなかった
彼女は女性のそばに屈み込み優しく肩を包み込むとゆっくり立ち上がり僕に気が付くと一礼して微笑みながら消えた
耳にかすかにありがとうと聞こえた
ハッと辺りをみわたすが女性の姿はなかった

あの人不慮の事故でなくなったのよ
残してきた親が心配で
気になるなら明日の新聞に出ると思うよ
一応コレにて閉幕

首にかけた数珠をジャラリと鳴らすと彼女たちはその場を去った

それが出会いであり序章の幕開けだった