ある日の夕食時のこと。

「双子は、兄と弟、どっちが左がいい?」

「オレなら兄かな」

「僕は弟だね」

青木君と中島君に目の前で話題にされ、顔を朱に染める兄、園田アキ。
対して弟、園田シュウの表情は変わらない。

「少なくても、園田双子で兄が攻めとか考えられないんだけど」

「いやいやりおちゃん、そこは意外性の兄ってことはない?」

「こんな赤面して、タチができるの?」

青木君は不躾に園田兄を見る。
居心地悪そうに小さくなる園田兄を、園田弟がその広い背中に隠す。

「そんな目で見るな、兄さんが減る」

「きゃー! 今の見ました奥さん!?」

「みたわよぉー!」

不審者2人から兄を守る行動も、彼らにとっては美味しいイベント。

「双子っていいわねぇ!」

「どんなシチュでもこなせるものねぇ!」

「でも、小さな兄が攻めるのはちょっとぉ……」

「だからこそ、クールな弟のリードでー」

「弟の襲い受けだね、なるほど」

何度でも言おう。
今は夕飯中だ。
風花寮の住人が一堂に会している。

そんな中でのふたりの話しは如何なものか。
園田双子でなくても、気まずくてご飯が進みませんわ。

「青木君、中島君」

この温度差の激しい空気を察してくれた大家さんが止めに入る。

「食事中、静かにしなさいとは言いません。ですが、自重はしてください。品がないですよ」

にっこり、大家さんの黒い笑顔に立ち向かう勇者はいない。

「す、すみません……」

「さーせん………」

大家さんは、風花寮で最強。