甘い甘い体



●智久


一緒にダーツをしていた連れが帰って行った。


あ~、月曜学校で問い詰められんだろうなぁ。


さっきから絢乃ちゃんは黙り込んだまま。



この前の電話。


俺が不機嫌になった理由は一つ。


断った理由が仁さんだったから。


仁さんが絢乃ちゃんのこと妹みたいなもんだって言ってるのは信用してる。


俺が気にしてんのは、なんでもっと俺のこと考えてくんねーのってトコ。


彼氏でもないんだし、そこで機嫌悪くなんのはおかしいとは思うけどさ。



いままで必死にしてんだからそろそろ気付いてよって思うじゃん。



リンゴジュースをゆっくり飲む絢乃ちゃん。


暗くて、なんか変だ。




「美味しいでしょ?ここのリンゴジュース」


俺が話しかけると、ぱっと顔を上げて、キョトンとした顔になる。



「あ・・・うん・・・うん・・・」


ちょっとほっぺが赤くなってはにかんだ笑顔。


ってうんって2回言ったし。


こんな事ぐらいでかわいいなぁなんて思う俺って相当好きなんだな~・・・



俺の言葉に反応したかのように、一気にジュースを飲み干す絢乃ちゃん。


って残りも少しだったんだけどね。


「おいしかった。」


飲み終えて小さな声でそういうと


「いまからどうする?」


俺の方の向いた。



やっぱ変かも。


いつもは俺が仕切るもん。


どこ行くにも、何するにも。



店に入った絢乃ちゃんはいつもゆっくり座って。


なかなか席を立とうとしないのに・・・





そういえば、仁さんが帰るとき『後は智久に頼んで』って言ってたっけ?


なんて色々考えてたらニヤニヤ笑うヒロさんと目が合う。


今度来たら絶対からかわれるんだ。


「とりあえず、出よか。」


俺が先に席を立とうとすると、さっと絢乃ちゃんが千円札を俺に差し出す。



「なにこれ・・・」


俺は絢乃ちゃんがぎゅっと握った千円札を眺める。