まだ朝だというのに、混み合う店内。
私は、祐太と一緒にドーナツショップに来ていた。
甘いものは二人のお気に入り。
「あ、愛葉。口にチョコついてる」
「え?あ、ほんとだ。ありがと」
もぐもぐ、一生懸命に口を動かす祐太を見て思わずくすっと笑う。
祐太は「なんだよ」一言行ったがあまり気にしていないようだ。
・・・こうやって見ると、祐太ってかっこいいよなぁ。
二重だし、鼻は高いし、スラッとしてるし。帰宅部だし。
最後のは意味わかんなかったかも。
一番は・・・
告白、も、何回かされてるみたいだし。
「愛葉?俺の顔なんかついてる?それに、手止まってるよ?」
「え?あぁ、何もないっ!食べる食べるー」
あまり、じっと見すぎていたようだ。視線に気づいた祐太が不思議そうな顔でこっちを見ている。
改めて認識しちゃたら、なんか照れるよ。
最後にちらっと祐太を盗み見ると、幸せそうな顔でドーナツをほおばっていた。
・・・まぁ、私には全然関係ない話か。
負けじと私もドーナツを頬張る。
周りの友達は、彼氏とか付き合うとか騒いでるけど。
私には祐太がいるもん。彼氏とかよくわかんないや。
ずっと、このまま、何も変わらず一緒がいいな―――――、


「そんなの無理。あんたらまじで付き合ってないの?」
「ガクッ」
絵美里ちゃんが長い髪の毛をクルクルと指に巻きつけながら携帯をいじる。
今は休み時間。いつもは祐太と一緒なんだけど指導室に連行されてていない。
だから反省文ちゃんとかけって言ったのに。
私は、しっかり100枚書いたから指導室送りは免れたのだ!
「男女の友情は成立しないのよ、愛葉」
こちらを見ないで告げる絵美里ちゃん。
「成立するよ。メールの相手は彼氏さん?」
「そ。5番目のね。」
カタカタ休まずメールを打ってるから聞いてみる。
絵美里ちゃん可愛い容姿をしてるのに男遊びが激しい。
すんごく可愛いのに、彼氏は何人もいて出来た順番で番号を付ける。
「前にその人の名前わかるの?」って聞いたら「わかるわけないじゃん」
で返された。それはすごい大変なことなんじゃないんだろうか。
「もー。絵美里ちゃんそろそろやめないと。
バチが当たるんだよ?」
「バレなきゃ大丈夫」
「はぁ・・・」
確かに私もバレなきゃ大丈夫っていうのには大賛成なんだけどさ・・・。
「えっみりー、あいー、何してんのー?」
「あ、海ちゃん」
廊下から現れたのは海ちゃん。幼馴染で運動が得意。
今もジャージ姿ってことは部活のスケットでも行ってたんだろうか。
「愛葉がね、祐太とはこのままの関係がいいんだって」
「絵美里ちゃんその話はもういいよ!」
「祐太君と?あははー、それは無理なんじゃないかなー」
海ちゃんが髪の毛を束ねていたゴムを外した。