友達以上って、好きになったら辛いと思うんだ。

「今日の欠席はー・・・相沢と如月か?」
「また二人で雪だるまでも作ってんじゃないですかー」
「は?高校生で雪だるまはないでしょ・・・」
扉を挟んででも聞こえてくるざわついた声。
そんな事は一つも気にせず、私は隣の祐太に声をかけた。
「祐太?せーのっ、でドア開けるからね?」
「もちろん、皆の度肝抜いてやろうぜ!」
私は思いっきりドアを開いた。
「おっはよー!見てみて!雪だるまだよ!」
「すげーだろ!通学途中に愛葉と作ったんだぜ!」
えへん、とでも擬音語が聞こえてきそうなくらい胸を張る。
あれ?皆、口を開けてポカンとしてるよ。
写メ撮っちゃえー、パシャっと。
「祐太見てこれ!皆の間抜けな顔!」
「ぶはっ!最高だなこの写真!」
二人してお腹を抑えながら爆笑する。
どこからかプツンと音が聞こえた気がした。空耳かな?
「お前ら・・・遅刻はまぁいつものことだからイイとして。
その手に持っている雪の玉はなんだ・・・?」
わぉ、先生から炎が出てる気がする!
でもまぁ、気にしない!
「先生!見てくださいこれ!さっき愛葉と作ったんだぜ!」
「すごいでしょ!?軽く1時間はかかったと思うんで―――」
「お前ら二人!廊下に立ってろ!その雪だるまはこっちで処分する!」
廊下にポイッ放り投げられ、ピシャン!と音を立ててドアが閉まる。
数秒遅れて、ドアの向こうから大爆笑が聞こえてきた。
「愛葉、俺らなんか悪いことしたか?」
「んーん、全然。全く。これっぽっちも。」
せっかく作った雪だるまも没収され、私たちのテンションはダダ下がりだ。
しばしの沈黙が流れる。
「・・・愛葉」
「・・・なに、祐太」
「暇だよな?」
「暇だね」
そこまで会話を交わすと、くすっと笑って走り出した。
「お前らー!戻ってこいー!」
遠くで先生の怒鳴り声が聞こえる。
そんなもん、怖くもないもんねっ!
「やーい!俺らが黙って立ってられると思うか!」
「そうだそうだ!このままスタバ行っちゃうもんね!」
二人で全力疾走しながら、昇降口へ向かい靴を履き替える。
外に出ると、先生の声も聞こえなくなり静かだった。
「んー、愛葉。どこ行こうか」
「どこでもいー。ていうか・・・明日学校いけないね・・・」
「はは・・・そうだな・・・」
明日学校に行ったら確実に指導室送りだ。
今年何回目だよもう。確実に10回は超えてるからね。
「ま、二人一緒なら怖くないだろ!」
「それもそっか!」
私たちは笑い合うと、どこへ行くわけでもなく歩き出した。