この雨が、、、

そう思い、橘先生の腕の中で空を見上げる。

そして、ゆっくりと瞳を閉じ、、、


「うん」


橘先生の言葉に頷き、葵として橘先生の背中に手を回した。


「カット!!」


やっと、その監督の声が掛かった。

その声を聞き、スタッフはあたし達の元へと掛け寄る。

その中に、ヒロちゃんの姿もある。

ヒロちゃんは急いであたしにジャンバーを羽織らせ、タオルを手渡す。


「大丈夫?」


その言葉に、あたしは小さく頷く。

正直、あまり余裕はない。

ジャンバーに包まりながら、監督の元へと向かい、カメラチェックをする。


「良かったよ、2人とも。雨が振って来た時はどうしようかと思ったが、神崎くんのアドリブで話が繋がるよ」


ムカつく男だが、今回は助かった。