転ぶ、、、

頭の中で、今の自分の状況を瞬時に把握する。

ここで転んだら、また撮り直しになる。

それだけは、どうしても避けたい。

だけど、あたし1人じゃ、、、


__ギュッ__


台本にはなかった演技を、神崎瑛太が演じる。
そして、あたしの台詞を飛ばし、、、


「わかった。戻ろう」


自分の台詞を口にする。

この状況で、あたしはどうすれば、、、

あたしは、誰?葵でしょ?

なら、今は、、、橘先生を演じる、神崎瑛太に合わせよう。


「橘、、、先生」

「この雨が止んだら、俺たちは、、、生徒と教師に戻る。だから、この雨が降っている間だけは、、、自分たちの気持ちに素直で居よう」


そんなアドリブを、神崎瑛太は口にした。