シンデレラガール

役者として、今のあたしが青木聖奈じゃないのことに気づいたのだろう。


「どうした、葵」


案の定、橘先生として声を掛けて来た。

決して1人では出来ない、演技が、、、今なら出来る。

それに調度、目の前には相手役が居るんだ。

なら、この時間を有効的に使おうじゃないか。

あたしは橘先生の隣へと、場所を移す。

葵と橘先生の関係は、禁断の恋。

誰かに、知られてはイケない。

ヒロちゃんや飯島さんのことも、役の世界に巻き込もう。

2人に気付かれないように、息を殺し、静かにやり取りを交わす。


「何、聞いてるんですか?橘先生」


橘先生は自分の耳に付けていたイヤフォンを、そっとあたしの耳に付ける。