シンデレラガール

「あの子、ですよね?坂上監督が、口説き落としたの」


今のシーンをチェックしている監督に、お弟子さんの山口が声を掛ける。


「お前でも、気付いたか?山口」

「気付きますよ。あの子だけ、オーラが違いますから」


山口はカメラ越しに映った、聖奈のことを見ながら言う。


「あの子の演技は、一流だ。それでいて、まだ18歳。これから先の成長が、怖いね~」

「坂上監督が、どうして「見に来い」と言ったのか、わかりました」


山口の言葉に、監督は鼻で笑う。


「山口、1つだけ覚えて置け。監督が良かろうが、キャストが有名だろうが、良い作品は作れねぇ。良き吹き込む役者が居て、その役者がどれだけ役の人間になれるかだ」

「彼女の演技を見て、俺もそう思います」


監督の言葉に、山口は力強く頷く。