シンデレラガール

ヘアメイクを終え、鏡に映るのは葵だ。

制服なんて、久しぶりに来た。

高校生の役なんだから、当たり前のことだけど、、、

デビューして、通信の高校に通っていたあたしにとって、制服なんて何年ぶりだ。

少しだけ、気持ちが高鳴る。

、、、イケない。

ここに居るのは、あたしじゃない。

さよなら、聖奈。

そして、、、

初めまして、葵。

鏡に向って、そんな挨拶をする。

これで、ちゃんと聖奈にさよなら出来た。

ギュッと瞳を閉じ、ゆっくり深呼吸をする。

行くよ、葵。

そう声を掛け、あたしは共演者やスタッフたちが待つ、スタジオへと向った。