シンデレラガール

だけど、この空気でいえるわけがない。

それに、監督も了承したわけだし、、、

あたしは、盛大のため息を吐いた。

そして渋々、カメラの前に立ち、監督の言葉を待っているあたしに、、、


「役者なら、ちゃんとやれよな」


なんて、東条恭太は嫌味を溢す。

言われなくても、カメラの前に立った以上、役者として演じて見せるわよ!!

どんなに嫌いで、どんなにムカつく相手でも、、、

自分の気持ちを封印し、役に入る。


「始めます」


監督の声が掛かり、さっきとは一変し、あたしは演じる。

目の前に入る人は、好きな人。

夢のために好きな人から離れ、その後も思っていた人。

そんな人との、偶然の再会。

我慢していた気持ちが、一気に溢れ出す。