俺が愛梨を気になり始めたのは

5月上旬のことだった。

公園のすみで座り込む女の子。

(ん?愛梨……?何してるんだ?)

『愛梨?』

『あっ、蓮くん。この子が……』

ギュッと子犬を抱いていた。

『捨て犬?』

『そう……みたい。どうしよう。飼ってあげたいけど家には猫がいるの』

泣きそうな目で見てくる愛梨。