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あたふたした様子の彼女は、袖で乱暴に目元をこすった。

思えばあの日ーーーーーー夕暮れの教室で、風葉ちゃんは泣いていたのかもしれない。

今、涙の跡を残す彼女は、あの時と同じように、困った顔をしているから。

心臓はまだドキドキしたままだ。

何を、どう切り出していいかわからないまま、俺は風葉ちゃんを抱きしめた。

耳元で、ハッと息を飲む音がする。

それでも構わずに、俺ははっきりと言った。

「好き」

風葉ちゃんが、ビクッと固まった。

そんな風葉ちゃんをそっと離して、今度はジッと目を見て言った。

「風葉ちゃんのこと、ずっと好きだった」