茶髪頭の津賀が立ち去ると、

私たち三人はなんだかお通夜みたいな雰囲気になった。

「……右、か……」
「……右かー」
「……」

桜子は不意に顔をあげて、

キッと前を見据えた。

「右だろうが

 左だろうが
 
 車道だろうが歩道だろうが

 大事なのは愛だよ!!

 気持ちだよ!!」

「うわ、なんか言い出した」

まぁしかし桜子の言いたいことも分かる。

気が利かなくったって、

好きなものは好きなのだ。

「てか、真希の彼氏はどうなの」

私はずっと気になってたことを真希に聞いた。

あの紳士の中の紳士の

真希の彼氏がどっちを歩くのか、

純粋に興味があったのだ。

「んー……

 私はいつも車だからわかんないー」

「……」

「……」


大人ってずるい。