ガチャ。

誰もいなかった屋上の扉があいた。

「栗原さん。」

自分が呼ばれているんだと理解するのに時間がかかったのは、この人がだれかわからなかったから。

「誰?」

「僕はリガクリョウホウシの矢吹です。」

「リガクリョウホウシ?」

「今日から栗原さんのリハビリを担当します。」

「リハビリなんて。したって走れやしないんでしょ?」

これからリハビリするのにこんなこと言ったら駄目なんだろうけど、言葉にせずにはいられない。