聞き取りづらいその言葉だったけど、確かに聞こえた。
「守谷がいる」
その言葉を聞いた瞬間、私も莉莎子の見つめる一点の先を急いで見た。
「っ」
体育館の入り口で突っ立っているその人も、こちらに視線を向けていた。
バチッとぶつかった私の視線と、守谷の視線。
けれど男の子にズルズル引っ張られていた私はすぐに、体育館の裏側に連れて行かれて。
その視線はほんの3秒くらいで途切れた。
ドキドキと胸が落ち着かない中、男の子にプリントを渡された。
ドッキドキ!イベント
そう大きく書かれたそのプリントの下に、
いつもはなかなか言えない気持ちを、このイベントで告白しちゃおう!
そう書かれていた。
ドクンと胸が揺れたような気がする。
いつもはなかなか言えない気持ち。
その言葉が心の中に響く。
「はい!新沢さん」
次に渡されたのは...胸につけるバッジ?
No.3 金田・新沢
ハートの形のバッジには、そんな文字が入ってる。
「付けたらそこのイスに座っててくださーい」
「は、はい...」
案内されたとこにはイスが並べてあって、まばらに女の子が座っていた。

