「おまたせ!」
できるだけ明るい声で金田くんへ声をかける。
急いで着替えちゃったから、髪の毛がボサボサだ。
「フッ...
先輩、ボッサボサ」
いつも通りの、金田くんの天使の笑顔が見えてホッとした。
でも、
「.....!」
サラリと私の髪の毛が揺れて、金田くんの指先が耳に当たる感覚。
突然金田くんの手が伸びてきて、私の髪の毛をといた。
それを理解するのに何十秒もかかった気がする。
「よし、なおった。
行こ、先輩」
優しく腕を引っぱられ、金田くんの隣に並ぶ。
腕は掴まれたままで。
いろいろ突然すぎて、呆然としてたけど。
「さっきはすいません」
少しだけ前を歩きだした金田くんを見つめていると、不思議と笑顔になった。
「ちょっと自分にイラついてて」
金田くんの耳が赤くなってるのは気のせいかな。
前を歩いてるから表情が見えないんだけどね。
「さっき友達と話してて、先輩のとこに行くの遅くなったんすよ。
先輩のとこに、はやく行っとけば良かった.....。
そしたらあんな顔、見らなくて済んだのに...」
最後の方が小さくて、聞き取れなかった。
でも、
どうしてだろう。
寂しく聞こえちゃうよ、金田くんの声が。
「怖かったですよね。
楽しい文化祭にするって言ったのに。
しかも俺、あんな態度とって」
悔しそうなその声に胸の奥がなぜか締め付けられた。
「そんなこと、気にしてたの?」
自然に私の口からこぼれ落ちた言葉。
その言葉を聞いて、前を歩いてた金田くんが立ち止まった。
まだ、腕は掴まれたまま。

