麗夏さんの家の前に着く頃には、汗で制服はびちょびちょだった。


俺は息をそっと吐いてから…、インターホンを押した。


すると…ドアが開いて、…俺はすぐに麗夏さんが今いる部屋に向かって走った。




俺がいるのに…!





「…麗夏さん!」




ーーバン!



ドアを開けた先には…涙で顔をぐちゃぐちゃに濡らした麗夏さんの姿があった。

ソファーに顔を埋めている。

その横には、オロオロとした麗夏さんの両親。

目の前には、俺の企業の次に凄い川原グループの息子がいた。




川原グループの息子は、俺をみて顔を赤く染め上げる。

「…お前は何もんだよ!麗夏との関係を壊すんじゃねぇ!」

見た目によらず…気の強そうな強情っぷり。

「…麗夏さん」

俺は男を無視して、麗夏さんにそっと声をかけた。

「…っ、勇君?」

目を赤く腫らせている。

「…俺には、何も言わなかったんだ?」

責める気はこれっぽっちもなかった。