アレは凄いよ。
「…勇君、久し振り」
ん?
麗夏さんの声が聴こえたのは…………気のせいですか?
いや、気のせい、気のせい!
絶対に、気のせいっ!!
「あ、麗夏ちゃん!」
七逢ちゃんは、振り返って笑みを浮かべる。
「…なに、勇君。無視?」
振り返ると、教室の入り口に綺麗なドレスを着た麗夏さんが立っていた。
周りから見たら…美しいこと。笑
男子は惚れ込んでいるに違いない。
まぁ、七逢ちゃんも可愛らしいから。
今回ので割れるかな?
…って、そんな余裕ないんだった。
「…き、気付かなかったよ。…麗夏さん」
俺は頬の筋肉が引きつるのが自分でも分かる。
きっと、皆も気づく程度に…。
「…迎えに来たのよ、勇君を。ダンスパーティーなの知らないの?」
不機嫌になった麗夏さん。
「…き、聴いてないんだけど。父さんマジ使えない」
俺は小声で父さんに文句を言う。
「で、勇君はあたしのパートナーね?あたし他の人と踊るのなんてごめんだから勇君、早く用意してくれる?」
な、なんだって?
ぱ、パートナー!?
なんでそうなった!?
俺、オッケーだしたっけ?
ねぇ、いつ?
いつだしたんだよ、オッケー!
他の人と踊るのなんてごめんだから…知らないから!
…麗夏さんに振り回されてる。
「…じゅ、準備します」
きっと、先生にも了解を得てるに違いない。
だって…反抗できるような環境じゃないしね?
笑顔を浮かべてるものの、早くしろ…だの、トロイ…だの、なんかしら負のオーラを感じる。
…俺はトロトロ…ゆっくり支度をする。
そして、七逢ちゃんや拳矢に背中を見送られ、教室をでた。

