チラチラと菅原のいる方を見ながら…、俺は黙々とテントを建てる。
「…お前、変わったなぁ」
陸上部で一番仲のいい友達・結城 功綺(ゆいき こうき)。
ユウが話しかけて来た。
ユウとは、苗字の結をとって、ユウになった。
俺は功綺とは呼ばない。
それは俺なりの気遣いだ。
コイツもそれなりに、彼女で大変な思いをしたから…。
「…そーか?菅原はもとから可愛いし」
「はぁ…。でも氷のお姫様だぞ?」
「菅原だって笑う努力はしてるぞ?……まだ魅せれないけど、な…」
うん。
魅せれない。
危ないもんな……。
俺が苦笑を漏らすと、ユウは苦しそうに笑った。
まだ…ユウは忘れられないんだろうなぁ…。
「…拳矢はさぁ?辛く無いのかよ」
辛い?
………全く。
………………………まだ、平気だよ。
我ながら…我慢出来てる。
「…どう見えてる?」
俺はあぐらをかきながら、テントの骨組みの備品を組み立てる?
「……早妃川に失恋してから…あんまりたってないんだから…先走るなよ」
「………そーだな」
俺は立ち上がって、菅原を見る。
唯一の友達・真波 叶羽(まなみ かなは)と話している。