「…佐渡先輩?」
俺が振り向くと、何時もより更に硬い表情をした菅原が立っていた。
「…どーした?」
「…あ、あの!…やっぱり何でもないです。頑張りましょうね」
硬い表情のまま、俺から離れて行く菅原。
俺は思わず、菅原の手を掴んでいた。
驚いた顔で振り向く菅原。
俺は…困った挙句、髪をくしゃくしゃ…して。
「…一緒歩かない?」
なんて変な誘いをしてしまった。
俺の誘いにキョトンとして首を傾げている菅原。
俺は恥ずかしくなって顔が火照る。
「…あ、あたしで良ければ…」
恥ずかしそうに…はにかむ。
そう言って、俺の隣をちょこちょこと歩き出す。
可愛えぇーー!!
どうしようもなく可愛い!
俺と菅原は、他愛も無い話をして陸上競技場に着いてしまう。
嗚呼、菅原の近くに入れないのはやだなぁ…。
「どーしました?」
俺が横を向くと、菅原はもう居なくて…、その代わりに女が一匹。
クソぅ…!
俺はお前じゃなくて、菅原がいーんだよ!
…なんて言う心の声は虚しく…心に響いて悲しくなる。
「…あぁ、大丈夫だからテント建てようか」
俺は力無く笑う。