「菅原、もっとさ…身体倒して10mくらいまで地面見て踏むこと」



「…はい。頑張ります」




に、ニコォ…と怪しく笑う菅原。




…ちょっと怪しいかも。



「…俺以外に笑顔はまだ向けちゃダメだよ?」



「…はい。アドバイスありがとうございました」




ペコリとお辞儀して、またスターティングブロックを足にかける。




「…頑張れよ」



俺は菅原に念を送る。




すると…チラリとこちらを向く菅原。




菅原は恥ずかしそうに微笑んだ。




少しだったかもしれない。



でも、さっきの怪しい笑顔とは…何かが違った。




「…行きます」




そう言ってスターティングブロックを思いっきり蹴ってサッと出た身体。





綺麗なホームのまま、身体が徐々に上がっていく。





嗚呼、めっちゃ綺麗。





俺はまた、菅原に惚れた気がした。