「でもさ、俺、知ってたよ」 「?」 「ユナちゃんが有名人だって」 まぁあり得ることかもしれない。 すると、多目的室と書かれた教室の前まで来た。中には誰もいない。私は夕凪先輩に席に座らされて、前の席では先輩がイスの背もたれに顔を乗せて私の方を見ている。 「ユナちゃん?泣かないの?」 夕凪先輩は私の顔を覗き込んできた。 「泣いてもいいんだよ?」 「泣きませんよ。私は」