「ありがとね。でも、もうバスケはできないから…」 みんなが黙り込む中、藤野くんだけ、まだ憤りを隠せないでいた。 「なんで走ったんだ?」 答えたくない。私さえ黙っていればまだコウといられるかもしれない。 「遅刻しそうだったから…」 咄嗟の嘘。 「なんで嘘つくんだ?」 藤野くんの声が一層低くなった。