「こいつ、もう走れないんですよ。授業程度なら平気だけど、長距離とか、不参加だし、とにかく、走れない体なんですよ‼︎‼︎」 落ち着かない藤野くんに痺れを切らしたのか、私を支えていた夕凪先輩が私をイスに座らせて、しゃがみ、正面から私を見た。 「どういうこと?」 夕凪先輩が柔らかく聞いてきた。言っていいものかと、少し迷ったが、べつに隠しているわけでもない。 「ミナミの小人。昔の私のあだ名です」