「ユナ。走ったろ?」 藤野くんはバスケ部の中でコウ以外に唯一私のケガを知っていた。 「藤野、くん…」 「走ったか聞いてるんだ‼︎‼︎」 怒鳴り声に私の肩がビクリと強張る。 「藤野。落ち着け、走ったらなんなんだ?問題があるのか?春原が怖がってる」 部長に止められた藤野くんは苦虫を噛み潰したような顔で私を見つめた。