「ごめんなさい」

私は全速力で

はしってはしって

風が涙を

かわかしてくれるように

でもずっと

走っても涙が溢れて、

ぜんぜん風が

役目を

果たしてくれない。

好き。

好きだよ。

玲央。

悲しくって

苦しくって

こんな気持ち初めてで

私はどうして良いか

分からなくなった

「音羽…」

振り返ると花音が居た

「好きなんでしょ!?

本当は玲央くんの事

好きなんでしょ!?」

花音の目からは

涙が溢れ

頬を伝っていた

それを見た私は

その場に

座り込んでしまった

「ねぇ!答えて?」

もう嘘は

つけないくらい

頭が

こんがらがっていた

「好き…だよ」

花音傷ついただろうな。

私の事

嫌いになっただろうな。

私は走って

逃げようと思った。

立ち上がって

逃げようとした瞬間

――ギュッ…

後ろから花音が

私を抱き締めていた

あの小さく

懐かしい花音の手が

私をしっかりと

抱き締めていた

「私ね音羽が大好き。

世界で一番好き。

だから私だけには

嘘つかないで。

好きなら好きって

言わなきゃ。ほら。」

花音が

無理矢理の笑顔を

私に向けていった

そして

私の背中を

ポンっと優しく押した

その先には玲央がいた。