「私玲央のことが

……きなの。」

「ん?

よく聞こえねぇよ。

どした?」

「玲央のことが…」

だめ!

「玲央のことが

きらいなの。」

「きらい?」

「そう。きらいなの。」

ダメだ。

好きな人に嫌いって

言うことは

こんなにも

つらいことなんだ。

涙がどんどん

溢れてくる。

「………」

玲央も怒ったのか

何もいわない。

「それ…

本気で言ってんの?」

「そう…だよ…」

ウソ ウソ ウソ!

ウソだよ。玲央!

本当は大好きなのに…

「だから

もう話しかけないで!」

言いたくないのに!

「………」

「………」

お互い

言葉が出てこない。

「じゃあもう行くね。」

私は涙を流しながら

玲央に言った。

少し歩いて

玲央を

通り過ぎようとしたら

「音羽!」

玲央に呼ばれて

振り返った瞬間、

玲央の腕の中にいた。

やめてよ…

そう言おうとした瞬間

何かで口を塞がれた。

柔らかく熱いもの。

その正体は、

玲央のきれいな唇。

――ちゅっ

と小さくリップ音を

ならして

玲央の唇は

離れていった。

私が呆然としていると、

玲央が

「俺は音羽の事が

大好きだよ。

好きで好きで

たまらない。」

え…

うそ…