Sing for you

あ、今日はいた



朝の満員電車を降りて、

改札を過ぎて

学校まで数メートル。

スクバをもって歩く。

いつもなら、あくびをして

大股で歩く道

でも、今日は、小幅で女の子らしく歩く

いつもは、友達と大笑いしながら歩く道

でも、今日は、髪の毛を気にしながら、

軽く笑いながら歩く。



「おはよ!」

私の心臓はその声を理解した瞬間、

飛び跳ねた。

「おはよ…!」

いうことを聞かない心臓を無視して

喉を振り絞って返事をした。



ほらね、やっぱりこれは恋だよ。

私、君に恋をしたんだよ。

君は気づいてやしないけど、

これは確かに恋だって、

落ち着かない心臓が教えてくれる。

「波琉、宿題やった?」

「やったよ!」

「まじ⁈みしてよー!」

「ほんと、光貴、宿題やらなすぎー」

「いいもん、俺には波琉がいるもん」

「ほんとばか。」

「うーるーさーい」

朝の登校は、いつもは10分。

でも、今日は1分。

なんでなの?

君と会話してるだけ、

ただそれだけなのに、

それが楽しくて、

嬉しくて、

ドキドキする。