全てを吐き出した。内臓も出てしまいそうになる程吐いた。

はぁ…はぁ…と息をはき
「…大丈夫だ」

大丈夫な筈ではない。
廃墟の恐怖がなくなった筈なのに恐怖が甦る。

二人は思う…早く立ち去りたい…

だが、辰巳がこの様子では帰れない。

「少しここで休もう」

しょうがないと思い、慎太郎は公平の言葉に従う。



外はだいぶ暗くなってきた―このままでは帰れなくなる…

辰巳は無理をした
「……行こう」

「いや、無理をするな、もう少し休め」

公平の優しさはありがたい、しかし甘える訳にはいかない。

「慎太郎少し肩を貸してくれ…行こう…」

無理矢理、慎太郎の肩に手をかけ、辰巳は歩き始めた。
それを見た公平は、すぐに辰巳を支え歩く。