廃墟に入った時より歩くスピードは早い、もう明かりが入ってきてもいい筈なのに闇は続く、公平は苦笑し
「そんなに時間経ってないのにな」

「すいません…」
慎太郎は間を空けずに言った。

「まぁ…、しょうがないな」
許したくないが、辰巳は情けを入れる。

出口が見えて明かりが入った。
だが、異常な雨の音が不安にさせる、出口に立った時、三人は無言になった。






「ん~…、この雨だと風邪ひくな」

「そうですねぇ…」

二人が会話を始めた時、強烈な不快な匂いが辰巳を襲う。今まで体験した事のない不快な匂い…
耐えられず、吐いてしまった。

さっきまで先頭を歩いていた辰巳が、突然そんな事になった事に二人は驚く。

「辰巳!大丈夫か!?」
少し遅れ
「だ、大丈夫ですか!?」

しかし吐き気の為に、辰巳は二人の問いに答えられない。