「やあ、前森くん。」
「…………青山さん、どうして、」
「どうしても何も、ここは吹奏楽部の部室だよ。」
ああ、なるほど……。
それなら吹奏楽部員である青山さんがいてもなんら不思議ではない。
「どうしたの?こんなところで。」
ベンチ入り落ちて、泣いてました―。
………なんて恥ずかしいこと言える訳がない。
こういう場合に対する語彙が全く無い頭を絞って考え出した答えは、
「………なんでもない。」
「…………。」
青山さんは訝しげに俺を見ている。
ああ、なんてことだ。
これじゃ逆効果じゃないか俺の馬鹿馬鹿馬鹿。