俺と猛とひろちゃんと、3台の自転車が並んで走る。
ふと反対車線に、2台の自転車が並走しているのが見えた。
「あれ……青山さんと、しゅうちゃん?」
「あ、本当だ。青山さーん、しゅうちゃーん。」
ひろちゃんが声かけると、青山さんは「お疲れー」と手を振って、しゅうちゃんは片手をあげた。
2台が走り去るのを見送って、猛がぽつりと呟いた。
「前森、青山さんに惚れてるよな。」
「「え?」」
あまりにも唐突な言葉に、俺とひろちゃんは驚いて猛を見た。
「あいつは確かに優しいけど、あんまり喋らない奴をそこまで気にするほど聖人のような人間じゃない。それに、嫌われてるとか気にするような人間でもない。」
確かにそうだ。
前森は確かに優しいが、誰だってそんなに関わり無い奴に対しては、よっぽどのことがない限り、気にしない。
「でも青山さんに対しては別だ。すごく心配してるし、すごく気にかけてる。嫌われてるとかどうかも気にしてる。」
そう言って、猛は軽く笑った。
「よくわかるよ。青山さんに惚れるのは。あんなに綺麗に笑うんだもんな。誰だって好きになるわ。」
俺は、はっとした。
「猛……お前まさか、」

「あぁ。俺も青山さん、好きなんだわ。」