「薫、ベンチ入りおめでとう!」
帰り道、佳奈に突然そう言われて、驚いた。
「お前、誰から聞いたんだ?」
「え、知洋に決まってんじゃん。」
………そうか。忘れてはならない幼なじみがもう1人いたことを完璧に忘れていた。
「とにかく、おめでとう!」
「あ、ああ……ありがとう。」
祝ってもらえるのは嬉しいのだが、佳奈に祝われると照れる。
それは佳奈が野球が上手いからなのか、俺は佳奈が好きだからなのか。