「………バカ兄貴」
「また可愛くないこと言うの?それともお仕置きされたくて言ってる?」
「違っ……」
「あはは、冗談だよ。それにこれ以上すると俺の方が我慢出来ないよ。」


ぽんぽんっと優しく頭を撫でてくる手。
暖かくて、心地よい。


眠くなる……。


「……我慢?」
「そうだよ。本当は今すぐ抱いてやりたいぐらいだよ。」
「そうなのか?」
「そうだよ。」


兄貴の声が少しずつ少しずつ遠くに聞こえ始める。


「海?」
「……んー……」
「ふふ、アホ面だなぁ。おやすみ、愛してるよ。」


俺は半分夢の世界にいて、


「……大好き、お兄ちゃん」


何てことを口走ったことも、


兄貴が驚いて間抜け面を晒したことも、


「海、必ず俺のものにするからね。誰にも渡さない。」


と耳元で囁いたことさえ、知らなかったのだ。



―END―