『2番列車に、電車が参ります。』





駅のホームで、アナウンスがかかった。





まだ朝早いせいか、人は少ない。





これなら、なんとか7時には間に合いそうだ。






『ピーッ』





笛の合図で電車の中に入ると、





席は結構空いていた。





私は1番扉に近い席に座ると、





向かい側の席を、ぼんやりと見ていた。





どういうわけか、自然と前の席の男の子に目がいく。






青林高校。




向かい側に座っている男の子は、




私と同じ制服を着ていた。





この子も、部活の朝練なのだろうか。





不思議と興味がわき、




私はじっと見ていた。





寝癖のついているボサボサの髪の毛に、




思わずクスッと笑ってしまう。






「………ん」






目が覚めたのか、その人はぱっちりと目を開けた。






一瞬、目があった。






ドキッ。





心臓の音が激しくなる。






私は、目をそらそうとした。










…ニコッ





その男の子は、爽やかな笑顔でニコッと笑った。





『到着です。』






電車のドアが開くと、男の子は降りていった。





私も電車から出ると、ただただその後ろ姿を見ていた。